03読解力をつける
03-A読解力とは何か
読解力をつけるためには、ZEN Studyの参考書で正しい方法論を身につけるべきです。読解力は、「読」と「解」、すなわち、本文を読む力と問題を解く力に分けることができます。
- 本文を読む力
- 問題を解く力
- 読解力
本文を読む力とは、評論の場合は、本文の論理にしたがって文章を読む力、小説の場合は、登場人物の心理を読みとる力です。本文を正しく読む方法は、参考書の中に「読む戦略」=Strategyとしてまとめてあります。また、設問にまどわされず正解に至る方法も、「解く戦術」=Tacticsとしてまとめてあります。
03-B「読む戦略」=Strategy について
「読む戦略」=Strategyは、1から10までありますので、是非、参考書を読んで理解してください。参考書の第2回に、まとめています。
- Strategy1対比を見抜く読み方
- Strategy2イコール関係を見抜く読み方
- Strategy3因果関係を見抜く読み方
- Strategy4主語・述語の関係を見抜く読み方
- Strategy5抽象・具体の関係を見抜く読み方
- Strategy6指示語の指示内容を見抜く読み方
- Strategy7対等関係を見抜く読み方
- Strategy8共通性を見抜く読み方
- Strategy9修飾・被修飾の関係を見抜く読み方
- Strategy10小説・随筆の読み方
現代文においては、どれも基本的な読み方です。10のうち、君は、いくつ意識しているでしょうか、自分でチェックしてください。10という人も0という人もいないと思います。2~4で普通、多い人で5~7というところではないでしょうか。実は、チェックしていないところが、君の弱点です。たとえば、対比と抽象具体と指示語は意識して文章を読んでいるけれども、それ以外の因果関係や主語・述語などを意識していない人は、それらの方法を意識することによって、実力を上げていくことができます。
また、意識しているつもりでも、実は意識していないこともあります。たとえば、対比や指示語は意識しているはずなのに、肝心な時に意識していないというケースです。
したがって、Strategyに関しては、意識しているものは、さらに完璧に意識する。意識していないものは、きちんと意識することが大切です。たとえば、対比に関するStrategyは、次のようなものです。
〈対比の見抜き方〉
- (1)対義語( = 反対語)
*絶対と相対など - (2)X 逆接Y
*「しかし」「けれども」「だが」など - (3)X に対してY
- (4)X と比べてY
- (5)X に反してY
- (6)X と逆にY
- (7)X よりY
*部分的な対比 - (8)XとY
*西洋と日本・前近代と近代など - (9)一方X他方Y
(X一方Y)(X他方Y)
*片方の省略が多い - (10)X ではなくY である
*否定肯定パターン
(=Y であってX ではない)
*肯定否定パターン
この方法を使えば、正確に対比関係を捉えることができます。対比を意識している人も、このStrategyを使って、さらに自分の読みを正確なものにしてください。
また、受験生の多くが意識していないのが対等関係です。その場合、次のStrategyを身につけるべきです。
〈対等関係が存在する代表的ケース〉
- (1)AまたB
- (2)AまたはB
- (3)AならびにB
- (4)AあるいはB
- (5)AもしくはB
- (6)A~連用形、B
例「Aであり、Bである」 - (7)AやB
- (8)AたりBたり
- (9)Aと同時にB
- (10)A、B、C…
ちなみにStrategyの4、7、8、9、10を意識できている受験生は、ほとんどいません。だから、それらを知っているだけで、他の受験生に対してアドバンテージを持つことができます。
でも、最終的な目標は、10分の10です。今まで多くの受験生を見てきましたが、10個のStrategyのうちの8~9個を意識できれば、かなりの実力者といえます。しかし、最強の受験生を目指すには、Strategy1~10のすべてを身につけるべきです。
受験生の中には、何かたったひとつの方法だけですべてが解決するという魔法のようなものを信じてしまう人もいます。でも、そんな魔法はありません。あくまで正攻法で問題に立ち向かうべきです。
- GOOD
- 正攻法で
立ち向かう - 伸び続ける
- 実力者になる
- 正攻法で
- BAD
- 魔法を
信じてしまう - 伸び悩む
- 実力がつかない
- 魔法を
03-C「解く戦術」=Tactics について
文章を正しく読んだ上で、設問にまどわされず、正解を導くための方法が、「解く戦術」=Tacticsです。本文の内容はわかっていたはずなのに、なぜか問題になると間違えてしまう人は、Tacticsを身につけるべきです。本文の読みをStrategyで一層正確なものにした上で、その読みを生かすために、Tacticsを身につけましょう。
「解く戦術」=Tacticsは、1から10まであります。是非、参考書を読んで理解してください。参考書の第3回にまとめてあります。
- Tactics1空欄補充問題の解き方
- Tactics2内容説明問題の解き方
- Tactics3理由説明問題の解き方
- Tactics4語句問題の解き方
- Tactics5内容合致問題の解き方
- Tactics6脱文挿入・整序問題の解き方
- Tactics7抜き出し問題の解き方
- Tactics8消去法という解き方
- Tactics9積極法という解き方
- Tactics10記述問題の解き方
設問の形式別に1から10までTacticsがあります。どれも基本的な解き方です。一通り読んで理解しておきましょう。もし自分が苦手な設問の形式があれば、その箇所を重点的に学習するのもよいと思います。たとえば、理由説明問題が苦手ならば、Tactics3です。
〈理由説明問題の解き方〉
- 傍線部自体を正確に読解し、意味を把握する
- 傍線部の理由=原因となっている部分を見つける
- 因果関係が成立するか考える
- 原因となっている部分と対応する選択肢を選ぶ
Tacticsには、ヒントの見つけ方、さらにヒントの生かし方が書かれています。予習のときにTacticsを用いて解答を作成しておけば、それが自分の根拠になります。なんとなく感覚で解くのではなく、根拠を意識しながら予習するためにも、Tacticsは役に立ちます。
本文を読む力+問題を解く力=読解力という式を思い出してください。読む力を確実なものにするのがStrategy、解く力を確実なものにするのがTacticsです。
03-D八方図について
StrategyとTacticsを組み合わせることによって、時間を短縮させつつ、ヒントを見つけ出し、正解を導き出すことができます。そのとき案内役となるのが、八方図です。


空欄や傍線部の四方八方にヒントは存在しています。そして、それらのヒントとの関係性によって、空欄に入る語句や傍線部の意味が決定します。バランスよく、四方八方に気を配ることが、最強の受験生への道です。
この八方図は、授業で使用します。
03-E語彙力について
読解力をつけるために、必要な力がもうひとつあります。それは、語彙力です。たとえば、本文の中のキーワードがわからなければ、本文自体の意味がわからなくなる可能性がありますし、傍線の内部の言葉がわからなければ、傍線の意味もわからなくなります。
また、共通テストの小説や国公立の2次試験、私大でも語句問題がでることがあります。その場合、まず語句の辞書的な意味を知っている必要があります。文脈で判断するとしても、辞書的な意味が判断のベースになります。
さらに、選択肢の文章の中に、わからない言葉があって、正解を選べないというケースもあります。選択肢の文章自体を読み、問題を解くためには、その言葉の意味を知っている必要があるのです。
したがって、現代文は暗記科目ではないですが、一定の語彙力は不可欠です。
そこで、まず現代文特有のキーワードの知識をつける必要があります。このキーワードに関しては、参考書の第1回に入っていますので、是非読んで、意味を理解しておいてください。たとえば、次のようなキーワードがあります。
- ・形而上〔けいじじょう〕
姿形のない、精神的・観念的な世界 - ・形而下〔けいじか〕
姿形のある、物質的・感覚的な世界
形而上とはどういう意味か、すぐに答えられる受験生は少ないはずです。まず、言葉の意味を知っておいてください。実際の参考書には、キーワードの説明が具体的に書かれているので、わかりやすいと思います。他にも、外来語のキーワードなどを苦手としている受験生も多いでしょう。それらのキーワードも入っていますので、時間が空いた時などに目を通しておいてください。
ただし、キーワードとして参考書にのっているのは、主として評論を読解するための言葉です。したがって、共通テストの小説の語句問題などに対処するためには、普段から語彙力をつけておく必要があります。具体的には、予習の段階で、評論でも小説でも知らない言葉があったら辞書を引いて調べ、その言葉と意味をノートに書き記しておく方法が有効です。自分だけの語句ノートをつくるのです。また、辞書を引いたときに、電子辞書ならば、漢和辞典にジャンプして、漢字の音読みだけでなく、訓読みも覚えるべきです。訓読みを覚えることによって、大和言葉のボキャブラリーを増やすことができます。
そして、入試には、漢字問題もあります。漢字に関しては、最低でも1200程度、できることなら2000程度の漢字が収録された問題集を、完璧にする必要があります。漢字問題の配点はそれほど多くはありませんが、漢字での失点は避けたいところです。漢字だけは、完全に自習が可能です。2000程度の問題集を完璧にすれば、漢字は大丈夫です。