ネットを活用した最強の勉強法 地理の勉強法 講師 甲野 純正

ネットを活用した最強の勉強法 地理の勉強法 講師 甲野 純正
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地理 最強の勉強法

地理の勉強は、地形や農業といったテーマごとに勉強する系統地理とアジアやアフリカといった地域ごとに勉強する地誌の大きく2つに分かれます。地誌は系統地理で勉強した内容を使って地域の理解を深める分野、すなわち総合的な勉強内容です。そのため地理の基礎力をみにつけるためには、系統地理の完成を優先します。N予備校では、第1回地球に関する基本事項から第20回宗教までが系統地理分野となっていますので、ここまでを優先して勉強してください。目安としては、共通テストのみの人は9月まで、国公立大・私大の入試で地理を使う人は7月中旬までに完成させてください。

02-A系統地理の学習で基礎力の完成~間隔型の勉強が有効~

① 授業を受講する前に=予習

授業に該当する箇所の参考書を読みます。例えば、「授業の3回目=第3講」は、参考書の「第5回小地形、海洋と陸水」の講義ですので、第5回の参考書を読みます。そのときに、読んでわからなかった用語、知らなかった地名がある場合は、ノートに書き出しておきます。まだ調べる必要はありません。例えば、“準平原”、“構造平野”、“扇状地”“河岸段丘”のように、知らなかった用語や地名のみが書き出されている状態となります。これで予習は完了です。

② 授業を受講する

N予備校では夏期講習など特別期間を除く4月~12月は毎週生授業がありますので、必ず生授業を受講するようにしてください。短期間で集中的に学習したほうが、効率的と思われるかもしれませんが、短期間で学習したものの効果はすぐになくなってしまいます(定期テストで一夜漬けをした人ならよくわかると思います)。

それに対し、数時間や数日といった“間隔をあけ、かつ反復して勉強する”と、知識は長期記憶の中に埋め込まれていきます。さらにその知識は、他の知識とのつながりのなかで位置づけられていき、使える知識に高められ、問題解決の基礎力となっていきます。そのためN予備校では時間間隔をあけた1週間間隔で生授業をおこない、効率的に勉強ができるようにしているのです。

さて、生授業受講の仕方です。まず、しっかりと授業を聞くようにしてください。特に予習で自分がわからなかった用語や地名がどのように説明されるか、どのような話の流れの位置づけで説明されているか、をしっかりと考えながら聞いてください。板書などあとで見直したいものがある場合は、スクリーンショットをとっておきます。

生授業で一番重要なのは、授業と同じ説明が自分でもできるようになるか、ですから、その視点で授業を聞くようにします。わからないことは、コメントで質問します。またクイズでは他の人がどれくらいできているか、どんなところで間違っているかを知ることができます。同じ時間に仲間と授業を受けることは、勉強へのやる気を高めることや自分の勉強のありかたを見つめるきっかけにもなります。

③ 授業受講直後の復習

授業を受講したあとは、その日のうちに(遅くとも翌日までに)授業の再現をしてください。授業の再現とは自分で授業をしてみることです。とくに、授業でなんとなく理解が不足していると感じるところを自分で授業すると、理解不十分なところが明確になってきます。そして、明確になった理解不十分なところは書き出しておきます。その後、授業と関連したN予備校“地理ベーシック”問題集で問題演習します。問題集“地理ベーシック”はほとんどが一問一答形式になっており、短い時間でできますので、早めに演習するようにしてください。N予備校問題集は勉強の履歴が残るので、その日のうち問題集地理ベーシックの到達度(理解度ではないです)が100%になるように復習してください。また、場所と名前が一致しない地名、わからない地名は“地図帳”で確認、該当分野の統計も“統計書”で確認しておきます。“地図帳”や“統計書”は地理の学習では必須なので、用意するようにしておいてください。

授業の再現は自分のあやふやなところのみで60分程度、問題集は20分程度、地図帳や統計の確認は10分程度、合わせて90分程度の復習時間で十分だと思います。この復習がしっかりできていると、今後の勉強時間を大幅に短縮することが可能になりますから、時間だけに気をとられず、しっかりと復習をするようにしてください

④ 反復復習

次に3日ほど時間をあけてから、復習のやり直しをします。授業のアーカイブ(アーカイブは原則翌営業日にはアップ)がみられるようになっていますので、それを見直して授業の理解が不十分だったところの復習をします。理解が不十分なところを書いたメモに注意しながら授業を見直し、授業での説明が正しく理解できているか、自分で授業しながら確認していきます。理解が十分となるまで反復します。その後、“地理ベーシック”問題集を再度全問やり直します。理解度(今回は到達度ではないです)が100%になればOKですが、間違いがあれば、間違えた問題の解説を読んで再確認します。

次に“地理ベーシック”問題集と同じ回の“地理スタンダード”問題集を全問やります。ほぼ一問一答であった“地理ベーシック”問題集とは異なり、“地理スタンダード”問題集は、センター過去問を中心に地理の基礎力を養成する実践的な問題です。ここで、授業や参考書で学習してきた“理解が十分であったかどうか”を確認してください。解答のときには「2択まで絞れたか」、「2択まで絞った後の解答までのプロセスは正しかったか」を確認するようにしてください。2択まで絞れるようになっていれば、基本知識は身についていると考えて大丈夫です。ここでまだ迷っているようであれば、再度基本の学習に戻ってください。

次に2択まで絞ったあと、1つの解答に絞るプロセスが重要です。この“解答を選ぶプロセス=解答根拠”にこそ“地理的思考力が必要であり”、入試でそこが試されています。ですから、正答を選べたことを重視するのではなく、解答へのプロセスが正しかったかどうかを、解説を使って確認するようにしてください。ここでは、正答を選べることが大切なのではなく、「自信があって正答」することが大切です。自信がなく、なんとなく正解してしまった問題はできていない問題と考えるようにしてください。

最後に、授業から1週間後、もう一度ベーシック、スタンダードの問題で「自信がない」「できていない」問題をやり直すようにしてください。N予備校では解答の履歴から、それら問題だけを一覧にして表示することができます。万が一、再度間違える問題があれば、解説の読み直し、それでも不安な場合は参考書の読み直しをしてください。

このような1週間サイクルで勉強をすすめていきます。

02-B統計資料分析の力を上げる~夏の時間を有効に使う~

夏になると勉強に使える時間が“グッ”と増えますが、他の科目でやりたい勉強も増えるでしょう。そこで地理については、まず7月までに生授業をペースメーカーに勉強してきたことの復習+問題演習をおこなってください。

それに加えて、統計資料の力を上げるため、統計書をみながら基礎の確認と反復をおこないます。例をあげて説明します。原油(石油)の生産量が多い国(2015年)は、1位 サウジアラビア、2位 アメリカ合衆国、3位 ロシア、4位 カナダ、5位 中国。石油輸出額の多い国は、1位 ロシア、2位 サウジアラビア、3位 アラブ首長国連邦、4位 カナダ、5位 イラクとなります。原油(石油)の生産は西アジア諸国よりも、中国の方が多いことがわかります。一方、石油輸出でみると中国は上位国ではありません。それは人口が多く石油の国内消費量が多いため輸出が少なくなるからです。一方アラブ首長国は国内人口が少ないので石油輸出額は上位国となっています。ロシアの石油輸出額が大きいのは西ヨーロッパや周辺諸国にパイプラインで石油を輸出しているからです。このようにこれまで勉強した知識を、統計を読む知識として使えるようにしていくことが大切です。同じ統計資料が入試問題ででることは少ないかもしれませんが、このようにして培った資料分析の力はいろいろな問題に応用できます。

02-C地誌完成

系統地理の勉強が完成したら、地誌の勉強を進めていきます。地誌はこれまで系統地理で勉強した内容を使ってアジアやヨーロッパといった地域を理解していきます。そのためこれまで系統地理の勉強を着実におこなっていれば、足らない知識を補ったり、地理的思考を確認したりすることが多くなり、新しいことを勉強する時間は少なくなります。一方、あやふやな知識は必ず“地図帳”や“統計書”で確認しながら勉強するようにしてください。

02-D過去問演習

地誌の学習まで進めば並行して、必要な入試問題の過去問演習をするようにしてください。

① 共通テスト

共通テスト地理の過去問演習は市販の問題集を利用すれば大丈夫です。ただし、必ずセンター試験と共通テストの過去問をやるようにしてください。予想問題など、センター試験や共通テストの問題がありますが、解法で重視されているものが、単なる知識であったりすることもあり、共通テストと異なっていることが度々あります。ですから、共通テストでの解法への思考過程を勉強するためには、センター試験と共通テストの過去問をやるしかありません。

この時期にはほとんどの問題は2択までしぼれる力はついていますから、“地理スタンダード”問題集を勉強したときと同じように、最後の解答を選ぶところでの思考過程を確認していきます。「たぶん、これだろう」というレベルから「明らかにこれだ」となるレベルにまで基本知識を使えるように高められているかを確認してください。単なる答え合わせでなく、しっかりと過去問を使って、解答へのプロセスを理解してください。理解が不十分なところがあれば、問題集や参考書、授業動画に戻って復習します。

また解答根拠を明確にし、正答した場合でも、他の選択肢との違いを明確にし「なぜ」それを正答としたかを説明できるようにしてください。

きっちりと勉強を進めていてもなかなか理解が進まないと、怠けていると自分を責める人がいますが、きっちりとやっていても理解が進まない場所は「苦手なテーマ」です。じっくりと復習をおこないましょう。

② 私立大学

私立対策用の知識がまだ不足している場合があるので、N予備校“地理ハイレベル”問題集に加えて、『実力をつける地理100題』(Z会出版編集部)で演習するようにしてください。これら演習で基礎力完成を目指すことに加えて、私大対策用の知識拡充がおこなえます。

これらの問題集が完成すれば、過去問の演習をおこないます。過去問演習では、正答できるかどうかだけでなく、解答根拠が明確であるか、他の選択肢についても判断できるか、などについて理解を深めておくことが大切です。

同一大学・同一学部(ときには同一入試方式)の過去問は公開されている問題量が少ないことがありますので、公開されているものを丁寧にやり込んで対策を立てるようにしてください。また、他の学部(他の入試方式も含む)の過去問は、出題形式が異なっていても丁寧に解答するようにしてください。同じような出題テーマになっていることがほとんどですので、合格するために必要な実践力を養うのに有効です。

③ 国公立大学論述対策

論述問題は、先述の入試問題の特徴のように、知識を使いこなして解答を導き出すだけでなく、それら思考のプロセスも含め、“題意に対して過不足なく説明をする”ということが大事になります。

そのため、題意のとらえ方、必要なキーワードの選びかた、論述の仕方を勉強する必要があります。そうした論述の仕方を押さえるためには、「大学入試地理B論述問題が面白いほどわかる本」をやると良いです。

この本で論述の仕方がわかれば、次に過去問にとりかかる必要があります。過去問をといたら、添削してもらえる人がいれば添削してもらいます。添削をしてもらえない場合は、次の視点で自分の解答を採点してください。
i) 出題の意図(題意)に対して解答しているか?
ii) 必要なキーワードが入っているか?
iii) 解答を通して読んで、日本語として変ではないか?
の3点です。解答例をみながら、これらに注意して自分の解答を採点すると、できていること、できていないことがみえてきます。

こうして、確実に得点がとれる解答を作成できるように繰り返し推敲を重ねます。最初は何度も書き直しが必要だと思いますが、だんだんと時間内に解答ができるようになってきますので、しっかりと演習するようにしてください。

02-E入試直前期

入試2週間前になれば、新しいことには一切手をつけず、過去問演習のやり直し、N予備校“地理問題集”のやり直しをおこないます。特にN予備校の問題集はスマホのみでやり直しができますから、頻繁に復習することができます。そして自分はこれだけやったのだから大丈夫だという自信をもつことができます。ぜひその自信とともに試験会場に向かってください。

時間をかけてじっくりと培った勉強は、その内容だけでなく、その勉強方法もあなたの今後の宝物となります。受験という機会を活かして、あなたの宝物となる「勉強」をしてもらいたいと思います。一緒に頑張っていきましょう!

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