Node.js
この教材は2016年度版です。情報がかなり古くなっておりますので2023年度版をご確認ください。
ここまでで、HTML や JavaScript というプログラミング言語、そして、Linux や Git というプログラミングのためのツールを学んできました。
ついにここから Web サービスを作っていきます。
これからの節では、セキュリティの問題のない秘密の掲示板が作れるようになります。
皆さんはニコニコや Google、LINE などの沢山の Web サービスを利用しているかと思います。
これからは、このような多彩な機能を持つ Web サービスの開発にとりかかっていきます。
そして Web サービスを開発するために Node.js を利用します。
今回は、この Node.js を使った簡単なプログラミングを体験してみましょう。
Node.js
Node.js とは、JavaScript でプログラミングすることのできる、サーバーサイド向けのプラットフォームです。 サーバーサイドとは、 サーバークライアント型のサービスのサーバー側のソフトウェアのことを指します。
また現在では、Node.js はサーバーサイドに限らず、開発用ツールやデスクトップアプリの開発にも使われています。ここまで使ってきた VS Code も Node.js を使って作られています。
Node.js は、複数のコアを持つ CPU を活かす必要のない処理では、 C++ や Java と言った高速なプログラミング言語と同等のパフォーマンスを発揮します。
また Node.js の言語である JavaScript は、スクリプト言語であり、手軽に開発できます。
スクリプト言語は、 C++ や Java などで必要な「コンパイル」という機械語への変換を必要としないのです。
JavaScript と Node.js を覚えれば、あらゆるシーンで利用できるソフトウェアを一通り作ることができます。
Node.js のインストール
さっそく、 Node.js をインストールしてみましょう。
いつも通りコンソールを起動しましょう。
Node.js のバージョン管理ツールのインストール
Node.js をインストールするために、 nodebrew という、 Node.js のバージョンを管理するツールを導入します。
なぜ、 Node.js にバージョン管理が必要なのでしょうか。
それは Node.js が現在も開発中のプログラミング言語だからです。
日々様々な改善が行われ、新バージョンで機能が変更される、ということもあります。
今まで利用していた機能が、次のバージョンで使えなくなるということもあるのです。
そのようなことを防止するために、どのバージョンの Node.js を利用しているのかを明確にし、そして必要に応じてバージョンを切り替えたりできると便利なのです。
nodebrew を使えば、このようなことは簡単に行なえます。
では nodebrew をインストールするため、以下のコマンドを実行してください。
curl -L git.io/nodebrew | perl - setup
サーバー上から取得したプログラムを、パイプを使って Perl というプログラミング言語で実行しています。
========================================
Export a path to nodebrew:
export PATH=$HOME/.nodebrew/current/bin:$PATH
========================================
以上のように表示されれば成功です。
そのまま、 パスを通す設定を行います。
以下のコマンドを実行します。
echo 'export PATH=$HOME/.nodebrew/current/bin:$PATH' >> ~/.profile
ここでいうパスとは、コマンドとなるプログラムが含まれているディレクトリの設定のことで、
PATH
という名前の環境変数に値を代入することで、設定することができます。
今回はリダイレクトを使って .profile
というファイルに追記することで、設定を編集しています。
.profile
は、シェルの起動時に自動的に実行されるシェルスクリプトファイルです。
このように、追記リダイレクト >>
を使うと、簡単に各種ファイルに設定を書き加えることができますが、打ち間違えて追記してしまったときに、間違いに気づきにくいので注意が必要です。
また、誤って普通のリダイレクト >
をしてしまうと、既存のファイルを上書きして消してしまうこともあります。
不安であれば、素直に vim
などのエディタを使って追記しましょう。
vim ~/.profile
次に、本来起動時に読み込まれる .profile
を、今すぐ読み込むためのコマンドを実行します。
source ~/.profile
ここまで完了したら、
nodebrew
と打ち込んで、
nodebrew 0.9.2
Usage:
nodebrew help Show this message
nodebrew install <version> Download and install a <version> (compile from source)
nodebrew install-binary <version> Download and install a <version> (binary file)
...
のようにバージョンや使い方が表示されることを確認してください。これで nodebrew のインストールが完了です。
なお nodebrew のバージョンは異なるかもしれませんが、気にする必要はありません。
nodebrew を使って Node.js をインストール
Node.js のバージョン管理ツールである nodebrew がインストールできたので、これを使って Node.js のバージョン v4.2.3 をインストールします。
nodebrew install-binary v4.2.3
nodebrew use v4.2.3
以上のコマンドを実行しましょう。
use v4.2.3
と表示されればインストールが完了し、v4.2.3
が使われる設定になりました。
念のため、実際に Node.js のバージョンを表示して確認してみましょう。
node --version
以上のように、node
コマンドにオプション --version
を与えるとバージョンが確認できます。
v4.2.3
以上のように表示されたでしょうか。
なお現在、v4.2.3 には深刻な脆弱性が報告されています。実際にWebサービスを運用したりする際には、最新のNode.jsを利用するようにお願いします。
Node.js を使ってみよう
今度は Node.js を動かしてみます。
node
とだけ入力すると、
>
と表示され、コンソールが入力を受け付ける状態になったと思います。
これは REPL というものです。
REPL
REPL とは、 Read-eval-print loop の略称で、Node.js の対話実行環境です。
以前に Chrome のデベロッパツールの Console で JavaScript を試した環境と同じようなものです。
試しに、
2 * 3
以上を入力して、2 かける 3 を計算させてみましょう。
6
と計算結果が表示されます。
REPL は、 Ctrl + c を二度入力することで終了することができます。
終了せてみましょう。
>
(^C again to quit)
>
これで、通常のシェルのコマンド入力画面に戻ることができたと思います。
Node.js のプロジェクト
Node.js は、先ほどのように REPL で動かすこともできますが、プログラムをファイルにまとめて書いて動かすこともできます。
HTML の時と同じように、プロジェクトディレクトリを用意して編集を開始しましょう。
mkdir workspace/my-first-node-js
cd workspace/my-first-node-js
touch app.js
以上のコマンドを実行します。
app.js
という、JavaScript ソースコードを書くファイルを作成しています。
ここまでできたら、 my-first-node-js
ディレクトリを、フォルダとして
VS Code で開きましょう。
VS Code の左のファイル一覧から app.js を選択し、下記のソースコードを入力しましょう。
'use strict';
const number = process.argv[2] || 0;
let sum = 0;
for (let i = 1; i <= number; i++) {
sum = sum + i;
}
console.log(sum);
これは、1 からコマンドラインの引数で与えられた数までを合計するプログラムです。コードを細かく見ていきましょう。
'use strict';
この部分は、JavaScript を Strict モードで利用するための記述です。
ただし、Node.js ではモジュールという仕組みを使っているため、HTML に組み込む JavaScript を書いていたときのように、
無名関数で囲う必要はありません。
const number = process.argv[2] || 0;
このコードは、number
という定数に、process.argv[2]
の値を代入します。
process.argv
は Node.js がデフォルトで提供してくれる、コマンドラインの引数が入った配列です。
なぜ添字として 2 番を使っているかというと、0 番には node コマンドのファイルのパスが入り、
1 番には、実行しているプログラムのファイルのパスが入る、という決まりがあるためです。
コマンドの後ろに書いた最初の引数は process.argv[2]
なのです。
なお、以下の ||
を使った書き方は初めて見るかもしれません。
const number = process.argv[2] || 0;
起こることとしては、process.argv[2]
が 0 や null や undefined などの Falsy な値である場合、number
には 0 が代入されます。
なぜこんなところで、条件付き論理和の論理演算子 ||
を使ったのでしょうか。
条件付き論理和は、先に左側に書かれた値を見て Truthy であれば、その値を結果として使います。
そして左側の値が Falsy であれば、その右側の値を結果として使う、という特性があります。
その特性を利用して、選択的な代入を行っているのです。
試しに
node
以上のコマンドで REPL を起動して、
null || 1;
undefined || 1;
0 || 1;
2 || 1;
それぞれ評価してみましょう。すると、
1
1
1
2
と表示されたはずです。
上の 3 つではすべて、左側の値が Falsy なので、右側に書かれた値 1
が結果になっています。
それに対して最後の 1 つでは、左側の値が Truthy なので、左側に書かれた 2
が結果になっています。
const number = process.argv[2] || 0;
つまりこれは、コマンドライン引数が指定されていればその値、そうでなければ 0 を、変数 number に代入するというコードなのです。
let sum = 0;
for (let i = 1; i <= number; i++) {
sum = sum + i;
}
console.log(sum);
この部分は、以前にも練習したよくある for 文です。
1 から number までの数字までを順に足して合計し、最後に sum の値を出力しています。
では、 Ctrl + c を二回入力して、REPL を終わらせ、以下のコマンドを入力します。
node app.js 100
結果として
5050
が表示されれば成功です(1 + 2 + 3 + ... + 100 = 5050 です)。
これで、 Node.js を利用したプログラミングができるようになりました。
最後に今のコードを、GitHub に上げましょう。
- https://github.com/ にアクセスし、「 New repository 」をクリックします
my-first-node-js
という名前で「 Create repository 」をクリックします
ここで 「 …or push an existing repository from the command line 」以下に表示されたコマンドをひかえておきましょう。
GitHub にリポジトリができたら、コンソールで git リポジトリを作成しコミットしましょう。
git init
git add .
git commit -m "first commit"
その後、GitHub で作ったリポジトリに表示された
git remote add origin git@github.com:${あなたのユーザー名}/my-first-node-js.git
git push -u origin master
を実行します。
これで、あなたの書いたコードは GitHub で管理されるようになりました。
まとめ
- Node.js は、サーバーサイドプログラミングができるプラットフォーム
- nodebrew という Node.js のバージョン管理ツールで、指定した Node.js のバージョンをインストールできる
- Node.js は REPL で実行することも、ファイルに書いたプログラムを実行することもできる
- 条件付き論理和 ( || )は、選択的代入に利用できる
この教材は、N予備校 により提供されています。
練習
Node.js で、1 以上の自然数の階乗を求める関数を実装してみましょう。
なお、階乗とは 1 からその与えられた自然数までの数をすべてかけたものです。たとえば 5 の階乗は、5 * 4 * 3 * 2 * 1
で、120
になります。
GitHub の練習問題リポジトリをフォークして、正解のプルリクを送ってください。
まず GitHub 上でフォークし、自分の intro-curriculum-3001 リポジトリをローカルに clone してはじめましょう。
cd ~/workspace
git clone git@github.com:${あなたのユーザー名}/intro-curriculum-3001.git
cd intro-curriculum-3001
このようにリポジトリの内容をローカルにクローンすることで、自分の手元で編集ができるようになります。
VS Code で、intro-curriculum-3001 フォルダを開き、下記のコードを貼り付けましょう。
'use strict';
/**
* 与えられた自然数の階乗を返す
* 階乗とは、1からその与えられた自然数までの数をすべてかけたものです
* @param {Number} n
* @returns {Number}
*/
function factorial(n) {
let result = 1;
// TODO このコメントを消して正しく実装してください。
return result;
}
const assert = require('assert');
assert.equal(factorial(1), 1, `1の階乗は1ですが、実際は${factorial(1) }でした`);
assert.equal(factorial(2), 2, `2の階乗は2ですが、実際は${factorial(2) }でした`);
assert.equal(factorial(3), 6, `3の階乗は6ですが、実際は${factorial(3) }でした`);
assert.equal(factorial(10), 3628800, `10の階乗は3628800ですが、実際は${factorial(10) }でした`);
console.log('すべてのテストを通過しました');
factorial
が階乗を計算する関数です。
この関数が未完成の状態になっていますので、正しく階乗を計算して返すようにコードを書いて完成させてください。
const assert = require('assert');
この部分は Node.js が持つアサーションという機能を、オブジェクトとして読み込む記述方法です。詳しくはこの後の回で説明していきます。
また、ここで使われている ` (バッククオート) で囲まれている文字列は、 ${プログラム内の値} という形式の文字列を含めることで、変数の値を埋め込むことができる Template Literal という機能になります。
実装が完了したら、
node app.js
を実行してください。
すると、コードの後半に書かれている assert
によるテストが実行されます。
間違っている場合には、
assert.js:89
throw new assert.AssertionError({
^
AssertionError: 2の階乗は2ですが、実際は1でした
以上のように間違っていることが表示されます。
全てのテストに成功した場合は
すべてのテストを通過しました
と表示されます。
全てのテストが通るようになったら、GitHub へ push し、プルリクを作成しましょう。
練習の答え
function factorial(n) {
let result = 1;
for (let i = 1; i <= n; i++) {
result = result * i;
}
return result;
}
以上が、実装の解答例です。実装後は、
node app.js
でテストします。テストを通過したら GitHub リポジトリへ push しましょう。
git add .
git commit -m "階乗関数の実装"
git push origin master
これで GitHub のリポジトリに反映できます。
その後、「 New pull request 」ボタンからプルリクを作ることができます。
自分が考えた答えをプルリクで送ってから、他の人のプルリクなども見てみましょう。